【現役物流マンがガチ解説】海外駐在の引っ越し荷物はどう分ける?船便・航空便・手荷物の判断基準を完全解説

海外駐在の準備過程で、多くの人が悩むのが「引っ越し荷物をどう分けるか」です。
国内の引っ越しでは使わないような輸送方法について紹介され、何をどの輸送方法に含めるべきか、具体的な判断基準が分からず、感覚で仕分けてしまうケースは少なくありません。

本記事では、海外駐在を控えた方に向けて、引っ越し荷物をどの基準で船便・航空便・手荷物に分ければよいのかを、現役物流マンのArisaが分かりやすく解説します!
この記事を読めば、海外駐在の引っ越し荷物を迷わず仕分けできるようになりますよ。


海外駐在の引っ越しで最初に知っておくべき考え方

結論:すべては使う順番で考える

海外駐在が決まると、多くの方が船便・航空便・手荷物の振り分けに頭を悩ませます。

これらの輸送手段の違いは理解していても、実際の仕分け作業になると判断に迷ってしまうのです。
ここで重要なのは、どの輸送方法が便利かという視点ではありません。
現地での生活において、どの順番でものを使うかを基準に考えることです。

到着初日から必要なもの、数週間後にあればよいもの、数か月後で問題ないもの。
この時間軸を意識するだけで、仕分けの判断は驚くほどシンプルになります。

詳細は本記事の後半で解説します。

船便・航空便・手荷物は役割がまったく違う

海外引越では主に3つの輸送手段を利用します。それが船便、航空便、ハンドキャリー(手荷物)です。これらは単にスピードや量が違うだけではなく、役割が明確に異なります

  • 船便:生活が安定してから使うもの
  • 航空便:生活を立ち上げるためのもの
  • 手荷物:絶対に失くせないもの、到着後すぐから使うもの

この前提を押さえたうえで、具体的に見ていきましょう。


船便・航空便・手荷物の違い

海外引越で利用する3つの輸送手段の特徴は以下のとおりです。

輸送方法船便🚢航空便✈️手荷物👜
輸送の早さ×
数カ月かかる

数週間かかる

同時に到着
輸送可能量
最も多く運べる

船便よりは少ない
×
スーツケース2個
程度が限界
輸送禁止品
比較的少ない
×
制約が多い

航空便よりは少ない

違い①:いつ届くか

手荷物

もっとも早い輸送手段は手荷物です。自分と共に到着するので当然ですね。

航空便

次点で早いのが航空便になります。数週間で届きます。

「え、飛行機なのに数日で届かないの!?」と感じる方もいらっしゃると思いますが、手荷物とは異なり輸送前後に多くの作業があるため、トータルでは最低でも2週間はかかると考えていた方が現実的です。

例えば東京からロサンゼルスに商品を送る場合、

自宅から搬出→空港への国内運搬→輸出通関→フライト→輸入通関→アメリカ国内配送

となり、各工程で1日ずつ+通関に最大5日程度かかります。となると、トータルで14日ですね。

空港で数日据え置きされたり、現地で事業者と都合が合わず受け取りが遅れるケースもありますので、その場合はもっと長くなります。

私の場合は受け取りまでちょうど1カ月でした。とは言え、入居した次の日に自宅で航空便を受け取れるよう調整した結果ですので、実際にはもう1週間程度早く受け取ることも可能でした。

船便

船便は到着までに数か月かかることが一般的です。
こちらは船という速度の遅い方法である上に、航空便同様前後のオペレーションが多いからです。

例えば東京からロサンゼルスに商品を送る場合は以下のような工程で進みます。

自宅から搬出→国内集荷、港へ運搬→輸出通関→船待ち→海上輸送→荷下ろし→輸入通関→アメリカ国内配送

航空便よりも大幅に遅くなる理由は以下のとおりです。

  • 引っ越しはたいていLTLで実施される
    …LTL(Less than Truckload)というのは、パレット数個分の荷物をいくつかまとめて輸送する方法です。つまり事業者は、実際には何人かの引っ越し荷物を1つのコンテナにまとめて輸送するんですね。そのため、全部の荷物が集まるまでに時間を要します。
  • 船が来るまで待機期間がある
    …基本的に船は週次運航なので、数日港で船を待つことになります。
  • 海上輸送のリードタイムが長い
    …飛行機であれば1日で到着できる距離も、船の場合数日(例えば東京ーロサンゼルス間なら15日)必要になります。
  • 輸入通関に時間がかかる
    …コンテナ1つに入っている荷物が多量ですから、航空便以上に輸入通関に時間がかかります。

私の場合はとても順調に輸送が進み、最終的には搬出日からちょうど2カ月で船便を受領することができました。

違い②:どれくらい入るか

最も大量にものを運べるのは船便です。船便は航空便と比べて体積当たりの輸送料金を大きく抑えられるのが最大の利点の輸送手段だからです。

余談ですが、一般的には航空便の運賃は船便の10倍と言われます。だから多くのメーカーがわざわざ日数のかかる船便を使って輸送しているんですね。

そのため家具や体積のある生活用品(トイレットペーパーなど)は船便で送るのがベターです。
一方、航空便は量に制限があり、本当に必要なものに絞る必要があります。引っ越し料金を会社が負担してくれる場合でも、船便より航空便で輸送可能な量のほうが少ないことになっているのではないでしょうか。

手荷物の場合、ご存じの方も多いと思いますが、無料では一人当たりせいぜいキャリーケース2個分の荷物しか持っていけません。

違い③:輸送禁止品

船便・航空便・手荷物を選ぶ際、絶対に考慮しなければならないポイントが輸送禁止品の違いです。

一例として、以下のようなものが挙げられます。

  • 船便で輸送できないもの
    …現金などの貴重品、動植物、生鮮食品
  • 航空便で輸送できないもの
    …スプレー缶類、モバイルバッテリー、引火性液体(マニキュアや度数の高いアルコールもNG)
  • 手荷物で輸送できないもの
    …刃物、大量の液体物、大型家電・家具

これらは一般化できる部分がありつつも、厳密には輸送事業者によって方針が異なります。

A社は○○を船で運べると言っているけど、B社は禁止している…なんてこともザラにあります。

そのため、引っ越し業者を決めた後すぐに、業者と輸送禁止品の認識合わせをすることをオススメします。


「何をどこに入れるか」を決める3つの判断軸

ここからは具体的に何をどこに入れていくか決めていきましょう。まずは基本の考えとして、以下3つの判断軸を上から順に採用していきます。

1. 輸送禁止品でないか

再度お伝えしますが、必ず輸送事業者とどの輸送方法で何が輸送禁止品になっているか確認しましょう。

これは荷物を送る側が最低限遵守するべきルールです。

2. 現地到着から「いつ使うか」

輸送禁止品を省いた上で、判断軸として最も大切なのが「これはいつ使うか?」という視点です。

具体的には、

  • 渡航したその日~2週間以内にないと困るもの→絶対手荷物に入れる
  • 渡航後1カ月または入居直後に受け取りたいもの→航空便へ
  • 3カ月はなくても生活が凌げるもの→船便へ
  • それ以外→空いているどこかへ入れる

と考えれば失敗しません。

詳細な例はこの後説明していきます。

3. 現地で「代わりがきくか」

自身の赴任地によっても、重要性が変わってきます。

例えば私がいるロサンゼルスであれば、お金さえあれば日本と全く同じ生活ができます。日本食も容易に手に入りますし、家具にしても家電にしても強いこだわりがなければアマゾンですぐ購入し1日後には入手できます。

一方で、アフリカや中東に行く場合は話は別ですよね。この点は、本当に赴任場所によって大きく変わりますので、事前に前任者に話を聞いたり、インターネットで同じ地域にいる人の体験談を確認することをオススメします。


引っ越し荷物の船便・航空便・手荷物への分け方

3つの判断軸についておおよそ確認ができたら、いよいよ荷物を各輸送方法に振り分けていきます。

実際に振り分ける際には、手荷物 → 船便 → 航空便の順で考えていく方法をおすすめします。

手荷物は「手元になければ困るもの」を選ぶ

手荷物は、引っ越し荷物の中で最も優先度が高い区分です。
ここに入れる基準はシンプルで、到着したその日から手元になければ生活や手続きが止まるものかどうかです。

具体的には、

  • パスポートやビザ関連書類
  • 現金、クレジットカード
  • スマートフォン、パソコン、充電器
  • 処方薬や常用している薬

などが該当します。
また実際には、次の航空便の到着まで2週間程度かかるので、勤務開始時に使うもの・ホテル生活で使うものもここに含めます。

具体的には、

  • 会社に提出する書類
  • 職場の人へのお土産
  • 数日分の着替え
  • 歯ブラシやスリッパ、パジャマなど ←海外のホテルでは準備されていません

などです。

船便は「当面なくても生活できるもの」を選ぶ

次に船便について考えます。

船便は、到着までに時間がかかることを前提に使う輸送方法です。
そのため、数か月手元になくても困らないものを入れるのが基本です。

具体例としては、

  • 季節外の衣類
  • 使用頻度の低い日用品
  • 書籍や思い出の品
  • 趣味のもの

などが挙げられます。
「いつかは使うが、今すぐではないもの」は、船便に回しましょう。

また家具など大型商品も基本は船便で運びます。

航空便は「到着後に使うが、必須ではないもの」を選ぶ

航空便は、手荷物と船便の中間に位置する存在です。
基準は、現地到着後すぐ使いたいが、万が一遅れても致命的ではないものです。

具体的には、

  • 当面の衣類
  • 買いだめた日用品(紙もの、洗面用具、日本食ストックなど)
  • 寝具類(枕や毛布など)

が該当します。
航空便は便利ですが、容量や費用には限りがあります。
「念のためこれも…」と入れすぎると、本当に必要なものが入らなくなるため注意が必要です。


よくある失敗とその原因

海外引越であるあるな失敗は以下のとおりです。事前に現地での生活を想像しておけば防げますので、しっかり下準備をしましょう。

失敗1.日本でしか使わないものを持ってきてしまう

海外駐在の引っ越しで非常によくあるのが、日本での生活を基準に荷物を詰めてしまう失敗です。
結果として、現地ではほとんど使わない、あるいは使えないものを大量に運ぶことになります。

例えば日本独自の家電や生活用品。電圧やプラグ形状の違いで使えなかったり、サイズや仕様が現地の住環境に合わなかったりするケースは少なくありません。
「もったいないから」「まだ使えるから」という理由で持ってきたものほど、現地では置き場所に困ることが多いのが実情です。

この失敗を避けるためには、日本でしか使わない可能性が高いものは、出発前に処分するという判断が重要です。
海外駐在は「今の生活をそのまま移す」のではなく、「新しい環境で生活を新しく作る」こと。
使わないものを持っていくより、身軽に移動する方が、結果的に楽になります。


「念のため」で航空便に詰め込みすぎる

航空便は便利な印象がありますが、実は最も判断を誤りやすい輸送方法です。
その理由は、記事に表で紹介したとおり、航空便は中途半端な立ち位置にあるからです。

「船便だと遅いし、手荷物には入らないから、とりあえず航空便で…」という判断を重ねると、航空便はすぐにいっぱいになります。
その結果、本当に到着直後に必要なものが入らなくなり、肝心な荷物が後回しになってしまいます。

航空便は「到着後すぐ使うが、必須ではないもの」に限定して使うのが基本です。

「念のため」という理由で入れたものは、ほとんどの場合、現地到着後すぐには使いません。
それらは航空便ではなく、船便に回すか、そもそも持っていかない判断をする方が合理的です。


船便が届くまでの生活を想像していない

船便の失敗で多いのが、届くまでの数か月間を具体的に想像していないことです。
「そのうち届くから大丈夫」と考えてしまい、実際の生活とのギャップに苦労するケースは少なくありません。

重要なのは、

  • 船便が届くまで、何が手元にない状態になるのか
  • その間をどうやりくりするのか。現地で調達できるものか

を事前に整理することです。

またそのためにも、実際に現地で生活している人から情報を集めるのをおすすめします。


まとめ

海外駐在の引っ越しでは、「何をどの便に入れるか」がその後の生活を大きく左右します。
したがって、使う順番を考えて輸送方法を使い分けることが重要です。

  • 船便:当面なくても困らないもの
  • 航空便:到着後わりとすぐに必要なもの
  • 手荷物:絶対に失くせないもの、到着後すぐから使うもの

この3点を軸に仕分けすれば、大きな失敗は避けられます。
なんとなく区分作業を始めるその前に一度立ち止まり、現地での生活を具体的に想像してみてくださいね!


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